生んでくれてありがとう
「誕生日は普通、家族や友人に『おめでとう』って言ってもらいますよね。
でも、本当は生んでくれたひとに『ありがとう』って言う日なんですよ」
ある講座では参加者にスピーチをしてもらっています。
9月のある日、その日のスピーチ当番の人がみんなにそう語りかけました。
そのひとは、
自分にはすでに「ありがとう」と言える母はいないけれども、
誕生日を迎えるひとは、ぜひ自分の親に「生んでくれてありがとう」って
言ってください。
あなたが今ここに生きているのはお母さん、お父さんのおかげなのだから。
そうみんなに伝えてくれた。
このスピーチを聞いた時、ちょうど1週間後に誕生日を迎える私は、
「自分の誕生日には、実家の母に『生んでくれてありがとう』って言うね」
と約束をしました。
普段なにげなく使っている「ありがとう」という言葉。
母にもいつも何かあるたびに伝えている言葉。
でも・・・
誕生日当日、母に電話をした私は、
すぐに言うことができなかった。
いつものように雑談をし、いつものように笑いあって、
でも、その言葉がなかなか出てこない。
話し尽くして「じゃあね。」と言った母に、
「あのね、生んでくれてありがとう」
ようやく言うことができた。
母は、
「うん、元気に生活するんだよ。
ゆきが元気だと私は元気でいられるんだから」
と、いつも電話の最後に言う言葉をいつものように言っていました。
母は、私の言葉を特別な言葉としては受け取らなかったのかもしれない。
でも私はすっごい勇気をもって言った。
言ったあとは、温かい気持ちに満たされた。
言ってよかった。
誕生日は、一生懸命自分を生んでくれた日。
○さん、教えてくれてありがとう。
特別な誕生日になりました。
お読みくださり、ありがとうございました。